家づくりは女性主導。だからこそ、
自分らしさを活かし、
柔軟にお客様と向き合いたい。

欠陥住宅から、大切な人たちを守りたい

私の祖父は大工で、小学4年生の時、実家を建ててもらいました。「棟梁」と呼ばれていた祖父。その姿を見て「かっこいい」と感じたことを今でもハッキリ覚えています。こうして、建築の道に興味を持つようになったのですが、決定的だったのが、高校時代に見た欠陥住宅のニュースでした。家は、暮らしを、大切な人を、守るものでなければいけない―― まだまだ世間知らずの私でしたが、そのショッキングな出来事を知り、使命感のようなものに駆られました。

大学で「建築史」を学び、過去からヒントを得てつくる面白さを知る

建築でも、デザイン分野だけでなく、建物の構造的な知識から安全で快適な暮らしを提案したい。そう考えた私は、物理が学べる理系を選択し、地元の三重大学工学部建築学科に進みました。興味のある分野に進むことができたため、それがチカラとなって、在学中は難しいテストや設計製図の課題も乗り切ることができました。また、幼い頃から書道を習っていた私は日本文化に興味があり、『建築史』の授業で学んだ日本の伝統建築に惹かれました。残り続けるものには、必ず魅力がある。新しいモノをつくるときも、昔のアイデアから発想を得ることを大切にしたいと感じ、卒業研究では町家の断面構成に関する研究、大学院では明治の師範学校の建築に関して掘り下げていきました。

勉強と部活の両立が、社会に出ても活きている

今、学生時代を振り返って思うのは、勉強や部活をなんとか両立させてきたことが仕事の上で役立っているということ。私はトヨタホームに入社してから物件設計以外に、販売店の方向けの研修のプログラムづくりと講師を任せて頂いています。いくつもの仕事を同時に、他の部署とも連携をとりながら進める。研修の対象者が異なれば、当然、用意する資料も異なる…そんな環境で活きるのは、やはり学生時代の「両立力」だと思います。

入社するまでは、仕事をバリバリやる！という考えが先行していましたが、実際に働いてみるとプライベートの時間もしっかりとれるし、疲れをためずに次の日を迎えられます。

結婚して、喜びも大変さも共有できる幸せを実感

私は2014年に同期と結婚しました。勤め先が同じだから、仕事のやりがいや大変さを理解し合えて、いいですね。家に帰ると心が落ち着くので、結婚が仕事にもいい影響を与えているなと思っています。共働きのため、料理と掃除は私、食器洗いと洗濯は主人と、分担しています。どちらかの負担になったり、それが原因でケンカになることもありません。休みの日は一緒に買い物を楽しんだりしています。また、私は趣味の書道を習いに行き、主人は仕事仲間とジムに行ったりと、それぞれの時間も充実させています。トヨタホームには時短勤務の先輩も多く、お子さんを出産されたばかりの先輩は自宅勤務をされるなど、要望を尊重してくれる雰囲気があります。福利厚生制度は、実際に使っている人がいると安心ですよね。私も将来、子どもができたときに利用したいと思っています。

社内結婚なので会社の方にも多く参列いただきアットホームな式になりました。

長年通っている書道教室では気心の知れた先生との会話も楽しみのひとつです。草書が得意で書き始めると集中して黙々と続けてしまいます。

お客様の“納得”を大切に、設計を進めたい

私が結婚した時、あるお客様からお祝いをいただきました。とても驚き、感動しました。その方は、初めてお会いした時、トヨタホームで契約したことに不安を感じていらっしゃいました。「この商品が、私たち家族にふさわしいのか分からなくなってきた」とおっしゃったのです。私は、なぜその設計、その構造がお客様の生活に適したものなのか、説明を重ねました。お客様にとって、家は一生の買い物。たとえ予算や施工期間に限界があっても、一人の設計者として、納得がいくまで向き合うことが何より大切だということを、わたしはそのお客様から学びました。また、家づくりにおいては、家事動線やインテリアなどの提案権は奥様の方にあることが多いです。結婚し、家庭を持った私は「奥様目線」になれる。これは、とても価値あることだと思っています。最近、建築士の資格に加え、インテリアコーディネーターの資格も取得しました。お客様に満足いただける設計ができるように、これからも視野を広げ、柔軟に、前向きに、歩んでいきたいと思います。

上司から一言

日比野さんは新入社員として私のもとに配属されました。ずっと成長を見守っていますが、経験の浅い時から上司より言われたことをそのまま受け入れるのではなく、自身の考えを持ち仕事を進めており、その傾向はより確かなものになってきています。また、ただ単に主張をするのではなく、適切なことは何かを見極め、多角的な視点で物事を捉えて意見してくれるので、大いに頼りにしています。近年は、キャリア入社の方も含めて女性の技術者が確実に増えています。私は、男女という性差よりも、本人独自の考え方の方が仕事の上では重視されるべきなのではと感じています。日比野さんも結婚され、仕事と家庭を両立しながら仕事を続けたいと聞いています。キャリアを積んで、社内の中核的なポジションへと成長してほしいと思います。