TOYOTA FEMALE ENGINEER DEVELOPMENT FONDATION
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企画

技術は、人を笑顔にするためにある。
その言葉を胸に、
今日も移動空間を構想する。

トヨタ紡織株式会社
車室空間企画部 主任

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髙山 麻美さん
[東京理科大学大学院工学研究科電気工学専攻 修士了]

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※記事内容、及び社員の所属、役職は取材当時のものです。

配線から修理まで何でもこなす父の背中を見て育った

好きな科目は理科。小学生の頃から理系科目に興味があった私ですが、その原点には電気の知識が豊富だった父の存在がありました。引っ越しをしたときに自分で配線をしたり、壊れた家電を修理したりと、家族の困りごとを解決してくれる頼もしい存在。私はそんな父の姿を見て、自分もいつか電気やコンピュータの知識を身につけて家族の役に立ちたいと思っていました。中学・高校に進むと興味の対象はさらに広がります。ITという言葉が注目されはじめる中、TVや映画で最先端テクノロジーをスマートに操る新たなヒーロー達の登場に魅了され自分も科学技術で活躍できる存在になりたいと考えるようになりました。

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人が直接「触れる」ものをこの手でつくり出したい
東京理科大学へ進学した私は、電気工学の中でも制御系を掘り下げて学びました。制御とは、機械や装置を人が望むとおりに動かすこと、モノに人助けができる命を吹き込むことです。制御技術の産物のひとつとして最近はずいぶん定着してきた家庭用のロボットですが、研究室では単に家事を助ける機能だけではなく、人がロボットに接しやすくなるインターフェースの開発に取り組まれていて、心動かされました。人と機械も人同士のように円滑にコミュニケーションがとれるようにしたい。人にとって優しい技術や、人が触れて心地よくなれるものをつくりたい。こうして私は、具体的に将来の道をイメージするようになっていきました。
「快適な乗り心地」を追求 東京モーターショーへの出展も実現
大学院を出たら、ユーザーの手に直接触れるものをつくりたいと考え、まずはカメラや携帯電話を開発しているメーカーを中心に就職活動を始めました。活動を続ける中で、小型の電子端末以外にも、人の生活を便利にするものはたくさんあると気づき、自動車業界にも目を向けるようになりました。競争率は高かったのですが、最終的にトヨタ紡織に内定をいただき、ホッとしました。入社後は専攻と同じ分野の電子技術部で、内装を制御するソフトを作ったりワイヤーハーネスという電線の束をつくり自動車の車内配線設計を行ったりと、学生時代に修得した技術を仕事に活かしていきました。中でも思い出深いのは、2011年12月に開催された東京モーターショーです。スマートフォンのアプリと連動した内装を設計。それを搭載したモデルを展示しました。車に乗り込むとお出迎え音楽が流れ、アプリに自分の身長を入力すると最適なシートポジションに自動で移動するなど、ドライバーが気分よく車を発進させられるよう工夫しました。また、会場でお客様の声を直接お聞きすることができ、ユーザーの声にちゃんと耳を傾けて、ものづくりに反映していきたいという思いを新たにしました。
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プライベートでは、2014年に結婚。主人は医師で、私とは生活のリズムが異なります。早めに出社して早めに帰宅することでワークライフバランスを維持しています。
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企画の仕事では、相手の考えを聞き、
“見える化”していくことが大切
7年間お世話になった電子技術部を離れ、現在は車室空間企画室で快適な移動空間をつくるための新装備の企画やトレンド、海外ニーズのリサーチ等を行っています。2014年にはタイへ現地調査に行きました。日本とは気候や文化が異なる国では、当然車に対する要求も変わります。私がタイの生活習慣で面白いと感じたのは、大家族がみんなで一台の車に乗り一緒に旅行や買い物に出かけること。それを知り、なるべく車内空間を広くとり、幼いお子様からお年寄りまで快適に過ごせる環境をつくりたいと感じました。また、トヨタグループの他社のデザイナーの方たちと連携して未来の移動空間を構想するプロジェクトにも参加しました。「魅力的な空間って何?」から話し合いを始め、調査を行い、空間設計に必要な要素を抽出していきました。技術と向き合うだけがエンジニアの仕事ではない。 企画の仕事を始めてそう感じるようになりました。相手の意見を聞き、目的を明確にして、話し合いを進めていく上でも理系のスキルは役立ちます。 相手が思っていることを整理して、図にまとめて「見える化」したり、話が煮詰まったら、スタートに戻って目指すべきゴールを論理的に考え直したりと、 「企画のプロセス」はすべて学生時代に培ってきたものの応用であるような気がしています。
暮らしを快適にする技術を、
将来は発展途上国の支援に役立てたい
仕事を通じ、移動の「快適」を追求している私ですが、実は私自身も旅行が大好き。 自分で訪れてすてきだった旅先を家族や友人に紹介しては「行きたい(=移動したい)」を広めていくことを目指しています。 また、旅行中いっそう「移動」が快適になるアイデアのヒントも探しながら楽しんでいます。 先日、母と一緒に信州に旅行に行った際は、母が助手席で暑そうにしているのに気づき、運転席と助手席の温度設定やシートの位置など、まだまだ改善の余地がありそうだと感じました。 これからも、身近なところから企画のヒントを見つけて、エンジニアリングしていきたいと思います。 また、エンジニアは、日頃からユーザーニーズにアンテナを高くし、そうして開発した技術を広く世の中に提供し、喜んでいただくことが使命だと思います。 将来は日本だけでなく、発展途上国などの技術を必要としている方の所まで行き、シルバー海外協力隊員として活動したいと考えています。 技術で、人を笑顔にする―― 幼い頃に父が見せてくれた、あの姿を忘れずに歩んでいきたいと思います。
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ワタシ視点で見る、育成基金のメリット
トヨタ女性技術者育成基金では、エンジニアの仕事が早くに体験できてうらやましいです(笑)。現場の雰囲気が分かれば、安心して社会に出ていくことができますよね。私もそうでしたが、理系の学生はどうしても研究室生活が長くなり、就職活動の時間を確保することが難しいと思います。だからこそ、社会との接点を持つ機会を意識的に増やすことが大切だと思います。
上司から一言
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髙山さんの最近の活動で、最も印象深いのは、他社(トヨタグループ)との共同プロジェクトです。グループ企業といっても担当製品も異なり、会社の風土も異なるため意思疎通を図るのが大変だったと思いますが、持ち前の、相手を思いやる優しさと粘り強さで、うまくプロジェクトを進行してくれました。最終的には共同コンセプトを立てることができましたので本人にとっても、トヨタグループにとっても、ひとつの成果となったと思います。また、企画の仕事をする上で、私は日頃から仮説を立てることを大切にしてほしいと伝えています。高山さんも、海外でのリサーチ等を通じ、ユーザーのニーズに触れる機会が増えていると思いますが、まずは自分で仮説を立てて行動してほしいですね。仮説を持つことは、自分の考えを持つことだから。それが、自分の行動への自信にもつながります。ぜひこれからも、自分の技術知識・経験をチカラに、仕事に励んでほしいと思います。


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