TOYOTA FEMALE ENGINEER DEVELOPMENT FONDATION
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生産技術

ひたむきに、前向きに。
キャリアも家庭も欲張る働き方を、
探していきたい。

トヨタ自動車株式会社
駆動・HVユニット生技部 技術企画室 主任

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瀧上 杏子さん
[筑波大学 第3学群 工学システム学類環境開発工学専攻卒業]

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※記事内容、及び社員の所属、役職は取材当時のものです。

異国の地で見つけた日本の技術に惹かれた

子どもの頃は、ブロックのおもちゃで建物や街を作って遊んだり、色々と工作したりするのが好きでした。だから、大きくなった時になりたいものは「建築家」。漠然とですが「何か形になるものを残したい」と思っていました。その興味が自動車業界に向きはじめたきっかけは、大学4年生の時に行った、アイルランドへの1ヵ月間の短期留学です。「ものづくりに関わるなら理系」と、進んだ大学でしたが、時代は就職氷河期。「技術力があって、英語も話せれば食べていけるかも」と、海を渡った先の島国で見たのが、古い建物やカラフルな街並みの中を走るトヨタ製の車でした。海外で通じる日本の名前といえば“TOYOTA”でしたし、自動車産業の、日本を代表する産業としての大きさを感じました。

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苦手科目の物理も工夫して勉強した
とはいえ、実は、理系の勉強はあまり好きな方ではありませんでした。特に、物理は苦手。それでも中学生や高校生の頃は、テレビでロボットコンテストを見て「やってみたいな」と思っていたので、苦手科目も何とかテストに間に合うように計画して勉強しました。何日前からやれば大丈夫か逆算して、勉強した時間は表にして色づけし、達成感を目に見える形で味わえるように工夫。高校時代は部活動で時間がなかったし、学校は「出席日数を守ってテストの点数が良ければ良し」という自由な校風(?)で、生徒の自主自立を尊重していたので、自分で結果を出す力が自然と身についていったのかもしれません。大学へ進学してからも、私が選んだ専攻は工学系から電気系、システム系、数学系と、幅広い分野の勉強と実験がある上に、競技ダンス部にも没頭していたので、また時間がない。計画を立てて複数のことを同時に進める力は、ここでも鍛えられました。結果的に、その力は、仕事を進める上でとても役立っています。
想像とは違う現実でもタダでは起きないが信条
「形になるものを残したい」という子どもの頃の気持ちは変わらず、就職活動ではゼネコンや鉄道、自動車など30社近い会社に応募しました。当時の話ですが、想像より多くの会社で、女性であることを特別視されたことにはショックを受けました。「そんな会社なら、入社してからも大変だろう」と自分を納得させて、「いつか、その人たちからもお願いされるような人物になってやろう」と悔しさを野望に変えていました。
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子どもを社内の託児所へ預けて、定時までフルタイムで働いています。夫も同じトヨタ自動車で働く技術者なので、私の都合が悪い時は、子どもの送り迎えは夫に交代。職場の協力もあり、仕事と育児が両立できています。
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国籍や言葉を超えたかけがえのない経験
苦労もあった就職活動でしたが、トヨタ自動車は採用活動中も入社後も、不平等感の一切ない会社でした。4年目には、若手社員向け海外研修制度で、アメリカのケンタッキー州にある北米トヨタへ。大学時代から力を入れてきた英語と、イラストや資料など思いつく限りの表現を駆使して、必死にアメリカ人スタッフとコミュニケーションを取りました。仕事を進める中で感じたのは、国籍や言葉が違っても、一つの目標に向かっていく仲間同士、仕事に対する考え方はとても似ているということ。私がうっかり日本語で説明してしまっても、考え方が近いので、私の意図を上手く汲み取ってくれたり。もうすぐ完成というところでリーマンショックが発生して、プロジェクトは中止になってしまったけれど、「どんな状況でも、何とかなる」「まだまだ新しい経験ができる」と難しい仕事も前向きに考えられるようになりました。
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私の働き方がこの先のモデルケースになれば
帰国後、北米トヨタで同じ時期に働いていた夫と結婚。妊娠が分かったのは、ちょうど主任昇格試験のためのプログラムに参加していた時期でした。キャリアアップも諦められなくて、出産直前の大きなお腹で昇格試験最後のプレゼンを乗りきりって育児休暇に入りました。合格の電話が入ったのは、その4ヶ月後。「出産後は今までと同じようには働けないから、昇格は難しいかもしれない」と諦めかけていたところに、「主任昇格おめでとう。復帰後も頑張って」と上司から連絡を受けた時は驚きと感謝でいっぱいでした。復帰後はフルタイムで働いていますが、以前のように長時間勤務はできません。もっと仕事をこなしたいというジレンマを抱えてはいますが、これからは、介護や育児など様々な理由で、女性だけでなく男性の働きかたも変わってくる時代です。仕事と子育てを両立する私の働き方が、そんな人たちの一助になれば。そんな気持ちで働いています。
私が選ぶこだわりの道具
仕事のメモは、手帳やノートなど色々試したけれど、最後に行きついたのは「会社の裏紙」。文字もあまりきれいじゃないし、罫線を無視して斜めに書いたりするので、裏紙がちょうどいいんです。用が終わったら気軽に捨てられるのもポイント。スッキリします(笑)。
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ワタシ視点で見る、育成基金のメリット
私が仕事で大切にしている、「とりあえずやってみる」こと。そうすれば、物事に対して具体的な意見が持てるようになり、次のステップも見えてきます。将来を考える時も、同じように「とりあえずやってみる」といいのではないでしょうか。最初から「これだ!」と決めるより、視野を広げるつもりで何でも挑戦してみてください。育成基金は、金銭的な理由で進学を諦めている人にとっては助けになる制度というだけでなく、技術者の話を聞き、色々な職業を知り、新しい興味を見つけるきっかけになる制度だと思います。
上司から一言
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新入社員の集合教育で、瀧上さんの教育役をしていたのが私です。そこでは製品図面の読み方や、製品を生産するために準備する設備の工作図の作り方など、この仕事の基礎の基礎を教えました。10年以上が経ち、今ではすっかり頼りがいのある部下です。資料を作るスピードなら誰よりも早く、仕事は必ず期限内に結果を出し、遅れることがありません。それは彼女が持つ、ここぞという時の集中力や、物事を順序立てて考える力、思い切りの良さによるものだと思います。今では、4人のチームをまとめるリーダーとして、メンバー一人ひとりの得意分野を理解し、より良い仕事に繋いでいると感じます。もちろん女性ですから、出産などで休職することはありますが、彼女がリーダーになりプロジェクトのスピードはグッと上がりました。いざという時のために仕事の情報は共有しつつも、これからますます活躍していってほしいと思います。


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